民生児童委員の想いをお伝えします。
荒川区民生委員・児童委員協議会副会長
町屋地区会長
荒川区民生委員・児童委員協議会の副会長 阿部重夫さんは、現役時代サラリーマンとして日本各地を飛び回り、ヨーロッパにも赴任するなど、熱心に仕事をしていらっしゃいました。退職後に第二の人生の一つとして民生児童委員に委嘱され、現在5期目のベテランです。そんな阿部さんに、民生児童委員の活動やその魅力について、お話を伺いました。
現役時代、サラリーマンとしてバリバリ働かれていたと伺いましたが、どういった経緯で民生児童委員に委嘱されましたか?
大学を卒業して、流通・小売業の会社に勤めました。日本各地を飛び回り、13回は転勤したかな。26歳の頃にはフランスとの合弁会社に出向、それが縁でパリにも転勤を命じられ、朝から晩まで働きました。
定年前までは隣県に住んでいたのですが、実家に住む母の介護が必要になったことをきっかけに、生まれ育った町屋に戻ってきました。
その後、定年より少し早めに退職して自分の時間を過ごしているうちに、前任の方から打診がありました。
前任の方とは、お知り合いだったのですか?
前任者は実家の2軒隣に住んでいて、時々一人ぐらしの母の見守りをしてくれていました。昔からのご近所さんでもあったので、その関係もあり声が掛かったんですよ。
ご近所さんというだけでなく、お母様の関係でもつながりがあったのですね。打診があった時、どう思われましたか?
生まれ育った地域に、何か貢献できることや恩返しできることがあればいいな、という想いがもともとあって、よしじゃあ一つやってみようかなという感じだったかな。
そのような想いをもともとお持ちだったのですね。
そうそう。あとは姉にね、「退職して何もしないでぶらぶらしているよりも、元気なうちは、社会に貢献するのが当然のことよ!」と言われて、その言葉を真に受けて、というところですかね。
民生児童委員に委嘱されて良かったなと思うこと、逆に大変だなと思うことは、どのようなところでしょうか。
良かったところは、自分が高齢になった時にどう生きていくかというのを学べることです。今まで行政、特に福祉サービスにどのようなものがあるのか、どのような支援が受けられるかということを、あまり知りませんでした。
でも委嘱を受け、地域住民と行政の間をつなぐ役割を担うようになって、それを学ぶことができました。地域住民のためというのが一番だけど、結局は自分のためにもなっていると、感じますね。
訪問活動中のご様子
地域のために活動をしていて、それが自分や家族のためになったりするというのは素敵なことですね。では逆に、大変だなと思うことはありますか?
最初のうちは定例会などで時間を取られることが多かったけれど、それもだんだん慣れてきましたよ。
それ以外は…う~ん。民生児童委員としてそんなに特別なことをしているとは思っていませんね。
では、地域の方と関わる上で大切にされていることは何でしょうか。
そうですね、例えば町内会の人に「ちょっと心配な方がいるから、様子を見に行ってみてよ」とお願いされた方で、訪問をしてよく話を聞いてみたら、既に福祉サービスを受けていた、ということがあったとします。そのように自主的に福祉につながることができる方は大丈夫なのですが、中にはなんとか福祉サービスを受けられるといいな、とか、本当は助けてほしいけれど、どうしたらいいか分からない、とか、周囲の目が気になるので遠慮しようかな、なんて方もいるんですよね。
以前関わった方で、同じく困りごとを抱えているけれどなかなか福祉につながることができない方がいました。そこで、何度も訪問をして話をするうちに、私の事を信頼してくれて、「本当は福祉サービスを受けたいのだけれど、どうしたら良いのか…役所に行くのは気後れするし…」という本音を聞かせてくれたんです。
そこで私は、「じゃあ、一緒について行くから!」と区役所で待ち合わせをして、手続きに付き添って、その方は無事サービスを受けられることになりました。そういう方の支えになれた時が、民生児童委員をしていて一番よかったなと感じるかな。
なかなか自分で声を挙げられないし、声の挙げ方も分からないという方に、いかに気付けるかという?
そうそう、分かる方は自分で助けを求められるから、それができない方たちの、何か手助けできればいいな~と思います。私の民生児童委員活動の一番の理想というのはそういうのかな。
基本的に福祉サービスは申請主義なので、自分で声を挙げられる方はキャッチできる面がありますから、声を挙げられない方こそ、地域に住んでいる民生児童委員の強みを生かしてつないでいくというのが大切なことなんだなと、感じました。
うんうん。それも、地域のコミュニケーションから生まれるものなんですよね。人づてに「あの人、民生児童委員やってるから相談してみて」、とか。下町である町屋地区には地域の絆っていうのかな、そういうのがまだあるんだよね。
地区民児協会長として、民児協の仲間との関わりの中で大切にされていることはありますか?
同じ民生児童委員として同じ立場で活動しているので、分からないことがあったらすぐ仲間に聞くし、自分に答えられるものは答える、そういうことですね。
お互いフラットな立場で、支え合っていくということですかね。
そうそう。ただ会長として、町屋地区をどうしていくか、その方向性をみんなで決めて、それを示していくということを大切にしています。している活動はみんな一緒なんだから、同じ方向に向かっていけるように、示してあげる、そういうのがリーダーの役割なのかなと思います。
最後に、これから民生児童委員に委嘱される方へ、一言お願い致します。
まず一つは、民生児童委員活動というのは仲間づくりだよ、ということです。民児協という組織の中で仲間を作って、地元の人たちとコミュニケーションを取る。そして一緒になってどんどん地域を良くしていってもらう。
あともう一つは、とにかくみんなでやっていこう!ということ、それくらいしか言えないね(笑)
私は次の一斉改選で退任になるけれど、それまで町屋地区の会長、荒川区の副会長として、この先も民生児童委員の存在を継続できるように、次の世代のためにできることに努めていこうと、そう思っています。
阿部さんがどのような想いをもって活動されているのかを伺うことができました。本日はお忙しい中、貴重なお時間をありがとうございました!
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