民生児童委員の想いをお伝えします。
杉並区民生委員児童委員協議会副会長
持ちまわりの町会役員の集まりで、前任の民生児童委員さんに「金杉さんって、どなた?」と声を掛けられたのがきっかけです。なにか粗相をしたかしら…と恐る恐る名乗り上げましたが、「民生児童委員になりませんか?」と。どうやら後任を探していたところ、私が子どもの小学校のPTA会長をしていたのを聞きつけての打診のようでした。
その頃は義父母の介護をやり遂げ、余裕のあった時期でしたので、少し悩みましたが、お引き受けすることを決めました。
当時は「民生児童委員って、何をするんだろう?」と不安な気持ちもありましたが、「何とかなるだろう。引き受けたのなら、やるべきことに向かって進むしかない」と、あまり深くは考えずにお引き受けしました。
委嘱を受けてすぐに、いろいろな研修がありましたし、日頃の活動にもそれほど苦労はしませんでした。ですが前任からの引継ぎが終わったばかりの頃に、担当地区で高齢者の孤独死が起こったんです。まだ地域のことを何も知らない状態でしたが、あちこちに連絡を取ったりと奔走しました。民生児童委員って、こういうこともしなくてはいけないのかと驚き、そこでしっかり気持ちを持ち直しました。大変なものを引き受けたから身を引こうではなく、だからこそきちんとやらなくちゃと、そう思いました。
民生児童委員になってよかったと思うのは、地域に知り合いが増えたということが一番です。主人と地域を歩いていても、いろんな方から声を掛けてもらえるようになりました。でも主人は居心地が悪いらしく、だんだん、ちょっとずつ離れていったりしています(笑)。
また、杉並区の民児協活動の一つである「地域のたすけあいネットワーク(地域の手)」や「あんしんおたっしゃ訪問」で地域の方を訪問した際、亡くなった義母のお知り合いにもお会いでき、私の知らなかったいろいろなエピソードを伺うことができました。思いがけず、義母を懐かしむ時間をいただくことができ、嬉しく思いました。
訪問活動中の様子
欠員地区の代行で見守りをしていたご夫婦のことは、今でも忘れられません。ご主人が認知症の奥様を老々介護していて、どこに行くにも手を引いて一生懸命支えていらっしゃいました。ただ、奥様の状態やご主人の疲れた様子が少し心配でした。
しばらくして、その欠員地区の委嘱が決まったため、私はそのご夫婦の見守りを後任に引き継ぐことになりました。それから2~3か月たったある日、散歩がてらご夫婦のご自宅前を通りかかった時に、なんとなく気になって、訪ねてみようかな、と思ったんです。でも、既に後任にバトンタッチした後でしたし、ためらってしまって、結局お伺いしなかったんです。
ですがその数日後に、奥様が亡くなられたということを知りました。「あの時私が訪問していたら、もう少し何とかなったのではないか」ととても悔やまれました。
しばらくそのことで落ち込んでしまい、当時の会長に相談すると、「抱え込まない方がいい」と力強い声掛けをしてもらえました。それですごくほっとして、助けになったことを覚えています。
この経験は、「あとから後悔しないために、気になることがあったら絶対に訪問しよう」と自分の活動の指針ができるきっかけであったと同時に、仲間のありがたさや大切さを実感した出来事でした。
2期目で地区民児協副会長を任されて、今は地区民児協会長、杉並区民児協副会長を務めています。ここまで続けてこられたのは、仲間がたくさんできたから。私が新任の時に、気の合う先輩たちに反省会と称する茶話会に誘っていただいて、いろんなことを教えていただきました。そこでのお話は、自分の活動にずいぶん力になりました。だから今は、自分がしてもらったことを民児協の皆さんにお返しする気持ちで、新任の委員にも積極的に声を掛けていますし、小さな集まりにも顔を出しています。どんな人でも、引き込んで仲間にしたほうが、楽しく活動できるじゃないですか。
そうやってお話をするうちに、「あ、こんな人だったんだ!こんな魅力があったんだ!」と分かってくるんです。民生児童委員になる人だから、みんな頼りになる人ばかりだし、隠れた才能があるんですよね。今後もそうやって、それぞれの魅力を引き出して、支え合って活動していきたいです。
仕事や親の介護などをやり遂げる年齢を迎えると、学生時代の友人と集まるのは年に1度とか、疎遠になってしまう方もいると思います。そんな中で、共通の活動を通してお互い腹を割って話すことができる貴重な仲間が、身近な地域に新しくできたというのは、すごく嬉しいことだと感じています。
民生児童委員活動は、自分よりたくさんの経験を積んできた先輩や、同じ道を歩んでくれる仲間から、よい面を吸収できる場だと思います。もちろん、訪問している地域の方からも、いろいろなものをいただいています。勉強させていただいているし、支えてもらってもいる。この年になって、自分自身が育てられているなと実感します。
委嘱を迷っている方は、心配なことがたくさんあるでしょうけど、そんなに気を負わなくてもいいと思います。研修もありますし、一つ一つ学んでいきましょう。なによりも、民児協の仲間・先輩が必ず支えてくれるから、大丈夫よ、と伝えたいです。
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