民生児童委員インタビュー

民生児童委員の想いをお伝えします。

第5回出会いを大切に、仲間と歩んだ26年間

中村 悦子

調布市民生児童委員協議会
第五地区 会長
 

地域活動の延長として、主任児童委員活動のスタート

約30年前、夫の仕事の関係でアメリカに行きました。現地の教会のボランティアがいろいろな活動をしている様子を見て、ボランティアや地域活動に関心を持つようになり、帰国後、息子が幼稚園に入園したときに、PTAを引き受けたんです。それ以来、小学校、中学校と進級するたびにPTAを引き受け、また、青少年健全育成推進地区委員会の活動にも関わるようになりました。そうした活動を続けていく中で、平成6年、主任児童委員制度が始まった際に声が掛かり、子どもたちの役に立てるならとお引き受けすることにしました。

当時は、民生児童委員協議会の中でも主任児童委員制度は十分理解されておらず、他市からは苦労話も聞こえてきましたが、調布市の場合は、会長の配慮もあり、皆さんに受け入れてもらえました。

当時から他市に比べ、学校との関係もできていました。平成8年には、都内でも比較的早くに子ども家庭支援センターが開設されたので、活動しやすかったです。当時は、「三者協(児童委員・児童相談所・学校等の関係機関による地区連絡協議会)」が活動のメインだったのですが、ほかはケースを担当しない限り大きな活動はなかったので、少しずつ民児協活動にも慣れていくことができました。私は沖縄出身なので、「なんくるないさー」という気持ちで、笑顔でいっときいっときを大切に、民児協の仲間や学校の先生たちと共に歩み、経験を積み重ねていきました。主任児童委員としては、3期(約10年)活動し、その後、地区担当の民生児童委員に委嘱替えし、今年で26年目を迎えました。

人との出会い・つながりを大切に

印象に残っているケースとして、他県から引っ越してきた方の世帯状況調査をしたことを思い出します。その方はご主人を亡くしたばかりと伺ったので、白い菊を持って訪問したところ、とても喜んでもらえました。お話をしていると、なんとその方の息子さんとは、もともと地域で知り合いだったことが分かりました。そうした偶然もあるのですね。おかげで初めての訪問でも打ち解けて話してくれました。

また、主任児童委員時代から関わっているケースでは、小さかった子が今年高校に進学しました。子どもの成長する姿はうれしいですね。今でも会うと「えっちゃん」と声を掛けてあいさつしてくれるんです。親以外の地域の大人が見守ってくれているという安心感があるのではないかと思います。

1つの出会いを大切にすることで、次の新たな出会いにつながることが多くあります。地域では笑顔であいさつするよう心掛け、機会があれば積極的に話し掛けたりもします。人が好きなんですね。実は、先のケースの息子さんとは、行きつけのラーメン屋さんで私から話し掛けて、知り合いになったんですよ。いつどこで出会いが広がるか分かりませんね。

あいさつから始まった出会いを大切にすることで、相手の方と深く関わる場面も増え、「ありがとう」、「助かりました」と言われることもあります。その思いがけないひと言がとてもうれしく、やりがいにつながっています。地域とつながりを持ち、寄り添いながら、無理をしないで活動することを心に留めながら、これからも活動を続けたいと思います。

活動を通して感じていること

民生児童委員の活動は大変というイメージがあるようですが、私は「なんくるないさー」の精神であまり悩みません。主任児童委員時代に少し大変な事例もありましたが、その時には民児協の仲間に相談し、先輩からノウハウを聞いたりして、対応することができました。この経験から、仲間がいれば、どんなケースでも活動でも乗り越えられると考えています。継続することで、仲間はさらに増えていき、より活動がしやすくなりました。

活動を始めた頃と現在を比較すると、民生児童委員が行う相談・支援件数は減っていると感じます。地域包括支援センターや子ども家庭支援センター、児童相談所等の関係機関に直接相談するケースが増えたためではないかと思います。民生児童委員として、そういった関係機関と連携することはとても大切なので、お互いに必要な情報を共有しながら活動していきたいです。

また、以前に比べひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯、認知症の高齢者がいる世帯が増えていると感じています。これからも住み慣れた地域で安心して暮らしてもらうために、民生児童委員としてどのように向き合えばよいか、研修などを通して学んでいきたいと思います。

これからも仲間とともに

9年前から第五地区の会長を務めています。会長になった当時は、地域活動が忙しかったのですが、それまでも副会長等の役割で民児協の運営に関わり、年間の流れを把握していたので、そこまで大変には感じませんでした。何より、民児協の仲間が支えてくれ、また私も仲間を信じていますから、その信頼関係の積み重ねで今の活動が成り立っています。

最近、体調を崩して少し活動をお休みしていたのですが、復帰したとき、仲間が待っていてくれて、復帰を喜んでくれたのはとてもうれしかったですね。ああ、ここが私の居場所なんだなと自然と笑顔になれました。

民児協の運営で心掛けているのは、経験の少ない人でも相談しやすい、意見を言いやすい雰囲気づくりです。活動を支える土台となる仲間づくり、「和」を大切にしています。そして、私自身、相談してもらえる会長になれるよう心掛けています。これまでの経験から、人の様子を見ると、今どんな気持ちなのかが何となく分かるんです。元気がない人には声を掛け、相談したいことがありそうであれば電話で直接話すなど、コミュニケーションを大切にしています。

新任委員や候補者には「まず仲間に加わってみませんか。一緒に活動しましょう。」とお伝えしたいですね。焦らず、ゆっくり、一歩一歩活動を進めていけば、いろいろな人と出会うことができます。民児協の仲間、関係機関・団体の人たち、そして地域住民と、出会いが広がり人生が豊かになりますよ。

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民生児童委員の活動を多くの方に知ってもらうため、
市役所でPR 2列目右から3番目が中村会長

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