民生児童委員インタビュー

民生児童委員の想いをお伝えします。

第2回地域で普通に暮らしている、頼れる普通のおじさんおばさんでいることが大切

下田 和惠

東京都民生児童委員連合会常務委員
文京区民生児童委員協議会会長

大好きな子どもたちのために挑戦してみよう

平成5年の夏、近隣の民生児童委員さんから「新しい制度ができるので引き受けてほしい」と声を掛けられ、翌年1月の主任児童委員制度発足と同時に委嘱を受けました。当時はPTA活動に区切りがついたので、結婚前に従事していた教員の仕事に非常勤として復職していました。子育てで家にいる生活が長かったことから、再び社会の中で誰かの役に立てる、自分のやりたいことができるという喜びがあったので、「大好きな子どもたちのためになるならやってみよう!」と思ったのです。

委嘱直後はまさに手探りで「活動しながら考える」状態でした。文京区では、高齢分野を中心に民生委員の活動は活発でしたが児童委員活動はそうでもなかったですね。

当時の民児協会長は「まずはできること、やりたいことから少しずつ始めてはどうか」と、私たちの自主性を尊重してくれました。区内で最初に主任児童委員の委嘱を受けたのは私を含めて9名で、それぞれPTAのつながりや同世代だったので信頼関係は強かったです。みんなで話し合い「“子どものいる場所”と仲良くなろう」という目標のもと学校訪問や児童館訪問から始め、保健所では4か月児健診のお手伝いも行うようになりました。

地域を知り、つながっていくことで活動も広がる

印象深い取り組みに「子育てマップ」作りがあります。平成7年に主任児童委員が試行錯誤しながら手作りし、活動の参考にしたほか子育て家庭への情報提供やきっかけづくりとしても活用しました。現在は区の事業に移管し「子育てガイド」と名を変えて発行されており、民児協が編集委員として関わり続けています。

もう一つ、とても楽しく大きなポイントとなったのが「おさんぽ会」の活動です。これは、自分の住むまちや担当地域の様子を知ることを目的に、近隣の民生児童委員とともにまちを散歩し、その途中で学校や児童館、保育園などに立ち寄って関係づくりをするもので、研修会の際に渋谷区の委員さんから聞いたまち歩きの取り組みを参考に企画しました。「児童委員として地域を知りたくてまち歩きをしています。少しお邪魔してもいいですか?」と伺うと、すべての機関が「こういう機会は大事ですね。民生児童委員さんと知り合えてよかったです」と応じてくれました。おさんぽ会は、児童委員としての「顔つなぎ」になったと同時に、委員同士の交流や情報交換など主任児童委員の存在が民児協全体の児童委員活動の活性化につながる意義深い取り組みになりました。今でも児童館、保育園とのつながりは強く、積極的な声掛けや相談はお互いに意識していて、この会も定期的に行っています。

文京区大塚地区では「月に1回は児童委員活動をしよう!」を合言葉に、みんなが「児童委員活動」に関心を持って取り組んでいます。「まちで子どもや保護者に声を掛けてもらえる」「子どもの成長が見られてうれしい」と、委員自身のやりがいも喜びも得られる、素敵な地域になっていると思いますよ。

大変なこともあるけれど、うれしい出来事もたくさん

「民生児童委員活動は大変」という印象を持つ方は多いですね。確かに、児童虐待など難しいケースもありますが、それだけではありません。関わり続けることで少しずつ改善したり、子どもの成長を親とともに喜び合えるなど、うれしいこともたくさんあります。自分が人の役に立てることで活動に誇りとやりがいを感じ、民生児童委員であることをありがたく思えます。

お子さんが不登校を続けていた家庭との関わりでは、学校を信頼できなくなった保護者の方に寄り添い、学校には保護者の気持ちを代弁するようにしたことで、双方が歩み寄ってくれました。その後、私宛に年賀状が届いたときは「あぁ、私の気持ちは伝わっていた。前を向いてくれている」と思いましたね。その子からの年賀状は宝物の一つです。

母親が精神的な課題を抱えながら3人の子どもを育てているケースもありました。保育園でのケース会議の際、小学生の姉がいるにもかかわらず学校が加わっていなかったため「小学校の先生にも入ってもらいましょう」と、その場で電話をして来てもらいました。当時は関係機関の横の連携が不十分だったのです。主任児童委員自らが事例に応じてつなぐなど、私たちも解決の一翼を担える立場なのだと実感しました。その後、平成15年に「子ども家庭支援センター」が設置され、私も同じ頃、地域担当の民生児童委員に変わりました。

喜びも悩みも分かち合える仲間がいることが一番の財産

活動する上で、私が心がけていることがいくつかあります。「人に優しく親切にする」、「人の名前をできるだけ覚える」、「相談内容を正しく聴き取り、帰宅してからしっかり記録する」、「知識を豊富にして、つなげる役をきちんと果たす」、「健康で家族の理解を得る」などです。人によって活動に費やせる時間は異なりますが、努力して経験していく中で自分に適した活動量が分かり、一つ一つやり方を会得できます。そのため文京区大塚地区民児協では、1期目の方に「コーチ」となる先輩委員を配置しています。気軽に親しく相談できる人がいれば不安も軽減され、活動しやすく継続していただけるからです。ほかにも「同期会」などで、仲間意識を育てるよう働き掛けています。

私は、人のために役立つことは自分を成長させ、結果的に自分を磨くことになると感じます。まずは地域の中で普通に暮らしていることが大切で、日常生活の中で相手に真摯に向き合えば、信頼できるかどうか分かってもらえるはずです。最初は戸惑うことも多いですが、必ずやってよかったと思えるのが民生児童委員活動ですね。出会いも数多くあるし、苦労も喜びも理解し合い分かち合える仲間が地域にできたことは最大の財産です。これからも私のできることをできるかたちで、責任感を持って活動したいと思っています。

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