民生児童委員インタビュー

民生児童委員の想いをお伝えします。

第8回1期目で得たものを2期目の活動につなげたい

宮崎 佳子

 (「崎」は「たつさき」)

墨田区民生委員・児童委員

サロン運営の実践を活かして

民生児童委員を引き受けたきっかけは、前任の方が定年で退任されるに伴い、町会長から推薦されたからです。4年前から、住民主体で運営する交流の場として高齢者を対象としたサロン活動を町会の助成を受けて立ち上げ、その代表を務めてきたことが推薦された理由かもしれませんね。

このサロンは、東日本大震災後に一人で暮らす高齢者が不安な思いをしていることを知り、人との触れ合いで安心感を持ってもらうことを目的に始めました。月1回の開催を楽しみにしてくださる参加者も増え、ボランティアスタッフも20名くらいいます。民生児童委員になってからは代表を別の方にお願いしましたが、運営には引き続き関わっています。

サロンの運営は、民生児童委員活動と一体のように感じますね。例えば、参加者が入院したなど生活状況に変化があれば、地域包括支援センターに連絡して情報共有し「誰かがその方の様子を把握できている」ようにしています。何回か参加いただくと顔見知りになるので、サロン以外の場所で会った時にもあいさつや立ち話をしますし、困っている時にお手伝いすることもできるんですよ。

1期目の活動を支えた多くのもの

委嘱された当初は、民生児童委員の存在自体は知っていたものの、活動内容はよく分かっておらず、自分に何ができるか不安でした。

そんな時に、地区で同時期に委嘱された“同期”が7名いることが支えでした。先輩委員からも気にかけていただき、地区の仲間として温かく迎えてくれたのがうれしかったですね。事例を相談したり、活動で分からないことがあるとすぐに教えてもらえました。

家族も民生児童委員活動に理解があり、応援してくれています。いろいろな支えがあったおかげで1期目の3年間を終えられたというのが実感です。

1期目で特に印象に残っているのは、末期がんの闘病をしながら在宅でひとり暮らしをしている高齢者の支援に関わったことです。その方とは身体の具合や生活のことなど、いろいろなお話をしました。最期は入院され、残念ながらそのまま亡くなられたのですが、入院前に「あなたが民生児童委員で良かった」と言ってくださったことは、深く心に残っています。その後の活動の原点となるような経験でした。

また、都民連や区が主催する研修にはよく参加しました。「研修がこんなに多いとは思わなかった」という委員さんもいますが、私は以前から社会福祉協議会の講座などを受講していたからか、そこまで負担は感じませんでした。むしろ毎回学ぶことが多く、自分の知識や対応方法が身に付き、活動に活かせるようになることがうれしかったですね。

相手に寄り添い、つながりをつくりたい

社協の講座では、サロンを立ち上げる前から傾聴についても学んでいたんです。現在も傾聴ボランティアとして、区内の老人ホームで入居者のお話を聴く活動を続けています。

民生児童委員として住民の方に接する時も傾聴を意識して、相手に寄り添い尊重することを心がけています。1期目には、都民連主催の傾聴をテーマにした現任(1)研修にも参加し、学んだ内容を傾聴ボランティアや委員の仲間に伝えましたよ。

サロンと傾聴、民生児童委員活動で実感するのは“人と人とのつながりの大切さ”ですね。たとえ一人で暮らしていたとしても、社会的なつながりがあることで、状況の変化に応じて必要な支援につなげられるし、安心感も抱いていただけるのではないかと思います。

児童分野の活動として困り事を抱えた世帯を担当した時は、仲間の主任児童委員に相談しながら、子どもが通う学校の副校長と一緒に対応しました。「支援」という目的を同じくする人々と共に活動することは、住民の方にとってもより良い日常生活につながるし、私自身も一人じゃないという安心感と心強さがありますね。

2期目も地域のために自分のできることを

2期目も続けようと思ったのは、ようやく担当地区内の皆さんに顔を覚えてもらい、信頼関係も築けてきたところで、人が替わらない方が良いのではないかと考えたからです。私自身、福祉活動が好きで、ライフワークだと思っていることもありますしね。1期目で多くの方に支えられたことも、2期目も続けられるかなと感じた理由の一つですね。

これからの3年間は、まず、これまで行ってきた支援を継続したいです。また、身近な地域で災害時の対応を考える必要があると思いました。昨年発生した台風19号(令和元年東日本台風)の時は、ひとり暮らし高齢者をはじめ心配な方に電話で情報を伝えたり安否確認をしましたが、その中で、避難所までの移動が難しい方をどう支援するのかなど課題も見えてきました。町会とも連携し、具体的な行動を検討することが大切なんだと感じましたが、民生児童委員として自分に何ができるか考えていきたいですね。

昨年12月から民生児童委員になったばかりの新任委員の皆さんに、ぜひお伝えしたいことがあります。私も3年前は同じ立場だったので、不安な気持ちもよく分かります。でも、地域には志を同じくする仲間がいます。福祉の知識がなくても充実した研修があり、分からないことは先輩委員に聞けば優しく教えてくれますよ。委員に打診されているけれども迷っている皆さんにも、ぜひ一歩を踏み出していただきたいです。自分のできる範囲で、一つひとつ覚えていきながら、一緒に活動しましょう! 多くの方と、同じ民生児童委員として活動できるとうれしいですね。

サロンで司会をしている様子。子どもたちとの交流で、高齢者も元気になります。

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