民生児童委員の想いをお伝えします。
八王子市民生児童委員
町会長さんから声を掛けていただいたのが、きっかけでした。前期は地区内から適任者が見つからず、他地区の方が民生児童委員を務めてくださっていましたので、適した候補者を探していらっしゃったようです。私は町会の役員経験はなかったのですが、町会の班役員や、お祭の接待責任者などを務めたことがあったので印象に残ったのかもしれません。
委嘱の話をいただいた際には、私にとって”社会的責任”を果たす機会だと思いました。昔の話ですが、大学院修了時に専門分野を生かした就業を期待されたのですが、子育てを優先し就職しませんでした。恩師に社会的責任を果たしていないと指摘され、”いつか機会が来た際には果たします”と答えた記憶があります。のちに大学で講師として教えるようになりましたので、恩義は果たせたかと思いますが、以来”社会的責任”という言葉は強く心に残っており、いただいた役割はお引き受けしようと考えています。
民生児童委員の活動内容について全く知らずにお引き受けしたので、戸惑うこともありました。でも委員になりたての頃は、前任者の方が一緒に地区をまわってくださり、ひとり暮らしの方を紹介していただいたほか、セキュリティの厳しいマンションの対応などを教えてくださり心強かったです。
町会役員の方々や老人会の皆さんにも、いつも活動をサポートいただき感謝しています。ちょうど委嘱後の1月には、老人会の新年会があるよと誘ってくださいました。皆さんの前で民生児童委員として紹介され、おかげで多くの方々に顔見せができました。その後の活動に役立ち、とてもありがたかったです。
そうこうするうちに4月になると、老人会の会報誌が急な事情により発行できなくなり、一時休止すると知りました。休止中は有志で代替のニュースレター(A4・1枚)を出すとのことでしたので、私は編集をお手伝いすることにしました。記事は全て老人会の方が集めてくださいますので、集まった原稿をパソコンでまとめ、無料の挿絵を貼りつけて仕上げました。余ったスペースには「民生委員からのお知らせ」コーナーを入れさせてもらいました。
▲作成をお手伝いした老人会のニュースレター
休止は1年に渡り、その間、多くの方に読んでいただきましたので、さらに民生児童委員として名前を覚えていただけました。編集の際には、空きスペースに脳トレ(クイズ)を入れたり、「フレイル予防」の自己診断表をニュースレター裏面に刷り込んだりと、いろいろ工夫してみました。読んだ方から紙面のことで話し掛けられたり、ご近所同士でクイズの答え合わせをしたと言われたり、反応があったので作りがいがありました。
訪問活動としては、春の高齢者調査があります。73歳以上のひとり暮らし世帯を訪れ、50人以上の方とお話ししました。担当地区は世帯数も多く時間がかかりますが、八王子市は私の母・祖母・曾祖母が生まれ育った場所であり、訪問時に思いがけず母の若い頃の話を聞くという貴重な経験をしました。
訪問した際に、地域に”心配な人がいる”と言われたこともありました。それは長くひきこもり状態にあった方でしたので、訪問して「八王子市若者サポートステーション」のチラシを渡しました。社協の方とも連携をとり、一緒にサポートステーションへ行くなど支援を続けた結果、ご自身で就職先を見つけ、無事に働き始めました。その後に訪問した際、心配していた職場環境について尋ねると「大丈夫そうです」と答えられたので心から安堵しました。
児童委員として子育て家庭に寄り添うこともありました。始めは訪問しても、なかなかお会いできませんでしたが、徐々に保護者の方のお話を伺えるようになり、積み重ねる時間の大切さを感じました。子育てサロンで準備した工作キットを「良かったら」と差し入れてみるなど、さりげないアプローチが功を奏したのかもしれません。その後、主任児童委員にもスムーズに顔つなぎができました。
子ども達は実年齢以上にしっかりしている印象でした。年下の子を気遣ったり、民生児童委員の私にも気を配ったりと心優しい様子に、彼らが安心して健やかに育っていくよう見守りたいと感じました。
訪問活動の中では、困り事相談だけでなく、これまでの人生についてお話を伺うことが多々あります。そうした際に大切なのは、その方の価値観を尊重することだと思います。耳を傾け丁寧にお聴きして、その方の“考え方”を理解するようにしています。また何気ないおしゃべりから、別の方の普段と違う様子を知ることもありますので、そうした観点でも注意深くお話を伺うようにしています。
民生児童委員になる前と後では、同じ場所に暮らしていても、違う世界のように感じます。普通に暮らしていた時には見えなかった景色を知り、経済格差や孤立・孤独といった現状も分かるようになりました。
委嘱後に受講した新任研修で、“一期目は民生児童委員であることを地域の方々に覚えてもらう期間。二期目から本来の活動ができてくるので、一期でやめないでくださいね”と言われたことを覚えています。
確かに、見ず知らずの人と信頼関係を築くのは時間が必要だと実感します。高齢者訪問では「私が亡くなるまで続けてね」「短期間で代わらないでね」と声を掛けられました。一方で「人のために活動するのもいいけれど、自分のことも構いなさい」と気遣いの声をいただくことも。
そんな地域の方々のお役に立てればと思い、再任を受けました。児童委員としても3年でようやく関係が築けてきましたので、二期目以降も子ども達の成長を応援したいと思います
初めてお会いする方でも何回かお話しすれば、だんだんと関係が築けると思います。活動で迷われたら会長を始め、周りの方々が助言・サポートしてくださいますし、全民児連※や都民連、役所等のホームページで情報を得ることもできます。
私自身、子どもが中学生の頃に移り住んで来ましたので、生まれ育った地域ではなくても、また知り合いに経験者がいない方でも務まると思います。推薦されたら、民生児童委員としてやっていけると思われているのだから、おやりになることをお勧めします。
「地域に貢献できる」「いろいろな方のお話をお聴きできる」など、民生児童委員にならなければ得られない経験ができると思います。
※全民児連・・・全国民生委員児童委員連合会
都民連・・・東京都民生児童委員連合会
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