民生児童委員の想いをお伝えします。
目黒区民生児童委員
東部第一地区民児協副会長

目黒区東部第一地区民児協副会長の淺海美恵子さんは、ご家族の介護をしながら、民生児童委員の活動を続けてこられました。今年で民生児童委員歴が18年目を迎える淺海さんに、活動の魅力やほかの委員へのメッセージを伺いました!

はじめに、淺海さんのプロフィールと、委嘱のきっかけを教えてください。
目黒区の東部第一地区民児協の副会長をしています。民生児童委員の委嘱を受けてからは18年目、副会長になってからは6年目になります。
委嘱のきっかけは、町会からのお声掛けです。離れて暮らす両親をその地域の民生児童委員さんが見守ってくれていたことや、義父が民生児童委員だったこともあり、なんとなく役割は知っていたんです。あとは今の地域に40年以上住んでいて、近所の方とも知り合い同士だったので、そんなに抵抗なくお引き受けしました。
委嘱を受ける前から民生児童委員は身近な存在だったのですね。それでは、委嘱当時に不安だったことはありますか?
なんとなく知ってはいたものの、活動内容については具体的に何をしたらいいか分からず…。あとは、民生児童委員は民児協という組織に所属しての活動になりますので、先輩や仲間になじめるか不安でした。
はじめはどうしても不安な気持ちはありますよね。ほかにはどんなことがありましたか?
実家の父が亡くなってから、私の母と主人の母の二人を介護しながら活動をしていました。母たちの介護は大変でしたが、周りの委員さんがはじめから活動記録の書き方や訪問の仕方などさまざまなことを教えてくれました。また、管外研修の日程なども早くから計画を立ててくれていたので、都合の調整ができ、毎年参加できました。すごく助かりました。
介護をしながら民生児童委員の活動を続けてこられたのですね。
そうですね。でも、もし私が民生児童委員をやっていなかったら、全然外に出る機会がなかっただろうなと思ったんです。民生児童委員としての活動があったので、それが私にとって気持ちを切り替えられる時間になっていました。
だから、「介護をしているから民生児童委員になるのは無理」なんて決めつけなくてもいいかもしれないと私は思いますね。
介護以外にも民生児童委員として自分が求められる場所がある、と思えたのは、精神的にも支えになっていたんですね。
それでは、淺海さんの普段の活動についてお伺いします。
一つは、高齢者の見守り活動があります。これは目黒区に「ひとりぐらし等高齢者登録」をしている方を対象にしているのですが、やはり始めはドアも開けてくれない方もいました。でも通い続けるうちにみなさん心を開いてくれて、今じゃ困ったことがあるとすぐに電話をくれるんです。逆に私の家を訪ねてくださって、「元気だから!」と言ってくれる人もいるんですよ(笑)。
素敵な関係性が築けていますね。民生児童委員としてかかわるのは、高齢者の方が多いですか?
高齢者だけではなく、子どもに関することもあります。少し前お子さんのことであるお母さんが相談をしてくださったのですが、ご家庭のいろいろな事情が複雑に絡んだ事例で、18年間民生児童委員をやってきた中でも初めての事例でしたね。どうしたらいいのか事務局の方にすぐに相談し適切な関係機関につなげていただいたのですが、私にとってもいい勉強になりました。
事務局の方がすぐに対応して下さったのは、とても心強いですね。また、制度の狭間に落ちてしまうような方とつながれるのも、民生児童委員だからこそかもしれないですね。
ほんとですね。出会えていなかったらその方は今もずっと悩んでいたかもしれないので、つなぐことができてよかったなと思ってます。
私、こうした少し難しい事例が多いんです。また?って言われるくらい(笑)。でも困ったときに私に相談してくれるのはありがたいですし、勉強になるんです。
住民と広くつながりがあるからこそ、いろんな方が淺海さんに相談にくるのだと思います。
民生児童委員になってから、地域とのつながりは変わりましたか?
今までは挨拶だけだった方が自分から「元気だよ」って言ってくれたり、逆に私が訪問などで歩き回っている様子を見て「暑いけど大丈夫?」って心配してくれたりするんです。そういうのはうれしいつながりですね。
民児協の仲間とのつながりはどうですか?
この前、担当地区内のお年寄りから「財布をなくしちゃって、ずっと探しているけど見つからないの」と電話がかかってきたんです。その日は日曜日で地域包括支援センターもやってないから、家に伺うことになったんですけど、近くに住んでいる民生児童委員の方に「日曜日だけど一緒に来てくれない?」と声を掛けて一緒に行くことになりました。お金に関することだと一人で訪問するのはいろいろと支障があるかもしれないですから。何か気になることがあるときは民児協の仲間同士でも助け合っています。
相談を受けたときは自分だけで解決しようとするのではなく、ほかの民生児童委員や関係機関にも声を掛けて、連携しながら活動しているのですね。
私たち民生児童委員は地域の方から困りごとや相談を聞いて、それを専門的な部署につなげるのが基本だということを委嘱当初から言われています。特に難しい相談を受けて一人で抱え込んじゃったら大変ですし、とにかくどこかに相談したりつなげようと思っています。
一人で無理をせずに周りの人を頼るというのは、民生児童委員を長く続けられるコツかもしれませんね。
訪問以外には、どのような活動をされていますか。
9月から3月までの半年間、月に2回ずつ乳児とそのお母さんたちの交流の場である「ちびっこルーム」に参加しています。主催は児童館ですが、私たちも参加することで、お母さんたちに民生児童委員を知ってもらう良い機会となっています。
「民生児童委員って何をしているんですか?」とか「どこに住んでいるんですか?」とか話しているうちに、お母さんたちとだんだん仲良くなって、「いつか困ったときに民生児童委員さんに相談してみようかしら」と思ってもらえるようになるんですよ。私たちも毎回楽しく参加していますし、欠かさずに続けている活動ですね。赤ちゃんにも癒されます(笑)。

「ちびっこルーム」の活動の様子
今年は一斉改選の年です。新しく民生児童委員になられる方も多いですが、そんな新任の方に向けて、メッセージをお願いします。
私が民生児童委員になって一番うれしかったことは、民生児童委員の友達が増えたことです。地区を隔てた友達がたくさんできてすごく楽しいです。だから肩肘張らずにやってみてほしいですね。絶対自分のためになるし、誰かに頼られるって活力になります。
難しそうなことは地区のみんなに相談すればいいので、私は周りを頼りながらそんなに負担にならずに活動できています。楽しい出会いがいっぱいあるので、そこに期待しながらやってみてほしいですね。
最近では仕事をしながら委嘱を受ける方が増えていますが、仕事と民生児童委員の活動を両立できるのか不安に思っている方もいらっしゃいます。
淺海さんはお母様の介護をしながらでも活動を続けてこられたとおっしゃっていましたが、両立について不安はありましたか?
私の場合、家にこもりきりで介護をするのではなく、介護とは別に自分が必要とされる場所に行けることがとてもありがたかったです。
それに、できないことを無理してやらなくても、必ず地区の仲間が助けてくれる。それは介護に限らず仕事をしている方も一緒だと思います。目黒区にも40代で仕事をしながら活動している方がいます。そういう世代に仲間になってもらうのは、私にとってもすごく良い刺激になります。
自分を犠牲にしてまでやらなくても誰かが助けてくれますし、「頑張りすぎなくていいからやってみよう」と言いたいですね。
淺海さんのお言葉は、新任の民生児童委員の方や、委嘱を迷っている方も勇気づけられると思います。
貴重なお話をたくさん伺えました。ありがとうございました!
ありがとうございました!私はあと一期(3年)で定年となりますが、悔いの残らないように活動していきたいと思います!
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